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コンピュータは、一人の発明家が一台の機械を作って生まれたのではありません。そろばんなどの計算道具、機械式計算機、プログラム可能な設計、電気式・電子式の機械、記憶装置にプログラムを置くコンピュータ、そして個人用・ネットワーク接続型の機器へと、用途と技術を変えながら発展しました。「最初のコンピュータ」は、何をコンピュータと定義するかによって答えが異なります。
「最初のコンピュータ」は基準によって変わる
計算を助ける道具まで含めるのか、プログラムで動く設計を指すのか、実際に完成した電子式の機械を指すのか。あるいは汎用機、記憶装置にプログラムを保存する機械、商用機、個人用コンピュータのどれを問うのかで、「最初」は変わります。したがって、歴史をたどるときは機械の名前だけでなく、何が新しかったのかを確かめる必要があります。
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| 段階 | 代表例・時期 | 歴史上の意味 |
|---|---|---|
| 計算道具・機械式計算機 | そろばん、パスカリーヌ(1643年)、ライプニッツの機械(1694年) | 人の計算を助け、機械で算術を行う |
| プログラム可能な設計・穿孔カード | バベッジの解析機関(1830年代以降の設計)、ホレリスの集計機(1884年) | 計算手順を構想し、データ処理を機械化する |
| 電気機械式・理論モデル | チューリングの理論モデル(1936年)、Z1(1938年)、ベル研究所のModel I(1940年) | 異なる技術と理論の流れから計算機が発展する |
| 電子式・プログラム内蔵 | ENIAC(1946年完成)、EDSAC(1949年完成) | 電子回路による計算と、プログラムを記憶する方式へ進む |
| 商用・個人用・接続型 | 1950年代初頭の商用機、Altair 8800などの初期パーソナルコンピュータ、ネットワーク接続 | 研究機関や企業から、個人や相互接続された利用環境へ広がる |
この区分と年代は、情報処理学会(IPSJ)コンピュータ博物館、Computer History Museum(コンピュータ歴史博物館)、ITUの歴史概説に基づきます。特定の機械を「最初」と呼ぶ場合は、完成・実用化・保存プログラムの有無など、採用した基準もあわせて見るのが適切です。
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そろばんと機械式計算機
計算の補助具は電子計算機よりはるかに古く、ITUはそろばんのような計算道具が何千年も前から存在すると説明しています。1643年のパスカリーヌはブレーズ・パスカルが作った機械式計算機で、加算と減算ができました。IPSJコンピュータ博物館の説明では、現存する最古のコンピュータとして紹介されています。ただし、ここでいうのは計算機械としての位置づけであり、電子式や汎用のコンピュータではありません。
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ライプニッツが1694年に作った機械は、加算・減算に加えて乗算・除算も扱いました。計算機の能力が広がっていく一方、これらは決められた算術を機械で実行する道具です。現代のコンピュータのように、多様な処理をプログラムによって切り替える機械とは区別されます。
バベッジの構想と穿孔カード
チャールズ・バベッジは数表を作るための階差機関を設計し、その後、1834年ごろから解析機関の研究に取り組みました。解析機関の設計には、記憶装置、算術・論理演算を担う部分、プログラムを与える外部の穿孔カードが含まれていました。重要なのは、後のプログラム可能なコンピュータを思わせる構造を構想した点です。解析機関は完成していないため、バベッジが動作する現代的コンピュータを作ったと説明するのは正確ではありません。
穿孔カードは別の用途でも活用されました。ハーマン・ホレリスは統計集計を速めるための穿孔カード式集計機を開発し、IPSJコンピュータ博物館はその開発を1884年としています。この仕組みは後に業務上のデータ処理にも使われ、数値を計算する機械だけでなく、大量の情報を処理する機械へと用途を広げる流れにつながりました。
電気機械式の機械と、計算を定義する理論
1930年代から第二次世界大戦期にかけて、機械式の部品、電気による制御、リレーなどを組み合わせた計算機が登場します。IPSJコンピュータ博物館の年表によれば、コンラート・ツーゼのZ1は1938年の機械式計算機で、プログラム制御に電力を使いました。その後のZ2とZ3はリレーを用いた機械です。ベル研究所のリレー式Model Iは1940年に登場しました。
同時期には、機械の実物とは異なる理論面の進展もありました。IPSJコンピュータ博物館は、アラン・チューリングの計算機モデルを1936年に位置づけています。理論モデル、設計案、実際に動く機械はそれぞれ別の成果です。これらを一本の発明の系譜に単純化するより、複数の研究者や組織が異なる問題に取り組んだ結果として見るほうが、コンピュータ誕生の実像に近づきます。
電子式から、プログラムを記憶する機械へ
真空管などを用いた電子式コンピュータは、電気機械式の計算機とは異なる技術段階を開きました。IPSJコンピュータ博物館の年表では、ENIACは1946年2月に完成しています。ただし、ENIACを定義を示さずに「史上初のコンピュータ」と呼ぶのは避けるべきです。「電子式」「汎用」「プログラム内蔵」など、何を基準にするかで候補は変わります。
同じ年表は、点接触型トランジスタを1947年12月、EDSACの完成を1949年5月と記載し、EDSACを最初のプログラム内蔵コンピュータとしています。これは同博物館の年表に沿った説明です。「プログラム内蔵」は、命令を外部から都度与えるだけでなく、プログラムを機械の記憶装置に置いて実行する方式を指します。時代ごとの「最初」を比べるときは、こうした定義の違いを明記する必要があります。
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1950年代初頭には、研究・計算用途にとどまらない商用・業務用システムが現れました。Computer History Museumの年表は、Ferranti Mark I、UNIVAC I、そして業務用途のLEO-1などをこの時期の例として挙げています。LEO-1は生産計画や配送に使われたコンピュータで、企業の実務に計算機が組み込まれていく変化を示します。
同博物館のUNIVAC Iに関する記載では、真空管5,200本、重量29,000ポンド(約13,200キログラム)、販売台数46台、各機の価格は100万ドル超とされています。これらは年表に記された機種固有の値で、ページ上で個別の情報の掲載年は示されていません。コンピュータが高価で大規模な設備だった時代の一例として読むべき数値です。
トランジスタ、集積回路、マイクロプロセッサが小型化を進める
真空管からトランジスタへ、さらに集積回路やマイクロプロセッサへという半導体技術の発展は、コンピュータの規模や利用可能性を大きく変えました。Computer History Museumの「Silicon Engine」は、半導体効果の記録を1833年にさかのぼって紹介し、1960年代から1970年代にかけてのトランジスタ・集積回路の進展を経て、現在のチップには数十億個のトランジスタが載ると概説しています。これは個別製品の仕様値ではなく、同館による広い現在状況の説明です。
同館は、インテルが2005年に示した「集積回路上のトランジスタ密度は約2年ごとに倍増する」というムーアの法則の表現も紹介しています。これは半導体業界の歴史的な経験則であり、今後もすべてのチップが同じ速度で進歩するという保証ではありません。
パーソナルコンピュータが利用者を広げる
初期のパーソナルコンピュータの例として、Computer History Museumの年表はAltair 8800や、低価格のMOS 6502を挙げています。MOS 6502はApple IIやCommodore PETなど初期のパーソナルコンピュータに使われました。こうした機器の登場は、コンピュータが大規模な組織の設備だけではなく、個人が使う道具へと広がる転換点の一つです。
Best Value
この変化は、単に機械が小さくなったという話ではありません。個人が自分の目的に合わせてコンピュータを使う環境ができ、通信や創作にも利用されるようになりました。Computer History Museumは、同館の年表ページでマイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツの「パーソナルコンピュータは、私たちがこれまで作った中で最も人を力づける道具になったと言ってよいと思う」という見解を紹介しています。これは同ページに掲載された発言で、発言の日付は示されていません。
コンピュータ同士がつながり、歴史は現在へ続く
コンピュータがネットワークで結ばれると、単体で計算する機械から、情報をやり取りする基盤へ役割が広がります。ITUの概説は、コンピュータ同士の接続がインターネット革命の幅広い社会的影響につながったと説明しています。Computer History Museumは1962年から1992年までのインターネット史を扱う年表を設けており、記憶媒体の歴史も、穿孔カードや磁気テープからCD、USBメモリー、クラウドストレージへと展開しています。
この歴史を振り返ると、コンピュータは計算の自動化から、データ処理、業務、個人の道具、ネットワーク上の情報共有へと用途を広げてきました。ここで参照した歴史概説は、現在のAIや量子コンピュータについての技術的な現状を詳しく評価する資料ではありません。それらを含む現代技術の具体的な到達点を論じるには、個別の技術と時点に即した別の説明が必要です。
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